Lesson 3-3 下半身の経絡

下半身6つの経絡

⑦胃経(いけい)

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胃の消化機能の働きが不十分だ食欲不振や口臭、吐き気・嘔吐、げっぷ、胸焼けなどの症状が出てしまいます。胃経にはそれらを解消・防止するための胃の調子をコントロールする働きがあります。

胃の経絡を流れる気は、目から流れ出し、口から下顎に降り、下顎から首に降り、胸腹部を下り、脚の前方外側を流れて足の第二指関節に至るルートで、経絡上にあるツボは45個となります。

⑧脾経(ひけい)

東洋医学では、「脾」は単に脾臓のことではなく、消化器系全般の働きを助けるものと考えられています。脾の働きが弱くなった状態を「脾虚」と言い、食欲不振や消化吸収が弱い場合などに「脾系」は活用されます。

また、「脾」は別名「女の経絡」とも言われており、血の流れを調節する働きを持つことから、生理痛や生理不順などに効果のある経絡としても知られています。脾の経絡を流れる気は、足の親指の外側から脚の前面内側を通り体幹部へ向かって流れていきます。

⑨膀胱経(ぼうこうけい)

東洋医学でいう「膀胱」は身体にとって不要な水分を排出する働きがあると言われており、排尿に関するトラブルに効果があります。膀胱の経絡を流れる気は、体幹部から脚の後ろ側を通り、足の甲を過ぎて、小指の外側へ向かって流れていきます。

また、12経絡では膀胱経を特に重要視する以下3つの理由があります。

  • 膀胱経の走行部位である背骨に近い場所の調整が脊椎の調整の下準備になる。
  • 不要な水分を排泄することで、体内の浄化が期待される。
  • 膀胱経だけで正経すべてに働きかけが可能になる。※膀胱経に属する兪穴の活用が必要。

⑩腎経(じんけい)

腎経の気が弱くなった状態を「腎虚」と言い、精力の減退や疲労で横になりたい時の状態を指しています。腎経はこのような状態に活用されることをはじめ、実在の腎臓の働きである排泄の調整、体内の水分の貯留、分布などの働きもあるとされています。

そこから、腎臓に付随するトラブルや精力増進などに効果があると言えます。腎の経絡を流れる気は、足底から流れ、体幹部に向かって流れていきます。

⑪胆経(たんけい)

胆の経絡を流れる気は、側頭部から首、肩、脇腹を通って脚の側面から足の第四指に至る長いルートで、治療点としての経穴は43穴もあります。経穴が多いことから治療範囲も広く、偏頭痛、眼病、耳鳴り、めまい、首や肩のこり、婦人科疾患など、様々な症状に効果的であると言えます。

また、胆は別名「決断の腑」とも呼ばれ、重要な決断を下すときの判断力に内在すると言われています。胆の調整を怠ると大きなチャンスを逃したり、優柔不断にも関係すると考えられます。そういった意味では「胆」の調整を普段からしておくことも大切と考えられます。

⑫肝経(かんけい)

肝は、「肝心、肝に命じる」といった言葉があるように、体内でもとても重要な働きを持っています。東洋医学では、肝臓は血を作り、それを収める臓器であり、気の出入りにも関係すると考えられています。

「血」は単に血液だけでなく、内分泌ホルモンやリンパ液など、体内を巡る液体を総称します。また、「」は「」と経絡の中でも特に密接な関係にあることから両者を1つに考えて調整することがより効果的と言えます。

「胆」と同様、心の安定にも深く関係しているため、内分泌ホルモンのバランスや自律神経の乱れが生じて「肝」の気が停滞すると、精神的な不安を感じて意思の力が弱くなり、決断力を失います。ですから、「肝」の調整も「胆」と同様に普段から行うべきということがわかりますね。

肝の経絡を流れる気は、足の親指側面部(人差し指側)を通って上がり、脚の内側を流れ、生殖器を巡り、体幹部に向かって流れていきます。