肩こり・腰痛など、凝っている時に押されると気持ちが良いツボは、東洋医学では経穴と言います。本講座でお伝えする経穴は主に経絡上に位置するものが多いため、経穴と経絡の関係を理解することから進めていきましょう。
経穴と経絡の関係
経穴(ツボ)は、人間の体に361個あると言われており、身体の内と外を通過する「気」の通り道にあり、そこから体の基本となるものは「気」と「血」=「気血」が出入りするという関係です。
健康な状態は、この気血の量が適量で順調に体内を巡っている状態であることが条件です。反対に病的な状態は、気血のバランスが崩れていたり、流れが滞っていることが原因で体調を崩したり、痛みが出るなどの症状が表れる状態を指します。
このような不調状態が起きないように、整体&セラピーには気血のバランスや流れを調整する知識と施術力が必要とされます。
重要な働きを持つ経穴
一口に経穴(ツボ)といっても数百を超えるツボを実践しようする場合、どれをどのように使っていくべきか分かりづらいのが現状です。また、一人ひとり体調の条件が違うため、教科書通りに施術することが良いとは言えません。
このような場合にはまず、症状などを好転させるために特に重要な働きを持つと言われている4つの分類にまとめられた経穴を優先順に覚えていくのが良いでしょう。
1,原穴(げんけつ)
原穴の「原」には、元気又は原気の意味があります。気が流れる経絡上を元気(原気)が巡り、とどまるところを原穴と言います。
経絡(正経)は全部で12経あるので、原穴も全部で12穴あり、原穴はいずれも四肢の手関節と足関節の付近にあります。特徴として五臓六腑の病気に反応がでる部分であり、押すと反応が分かりやすい経穴であることから、治療点としてだけでなく、診断点としてよく用いられます。
2,郄穴(げきけつ)
郄穴の「郄」には、間隙(かんげき)の「隙」という文字と同意の意味があり、骨や筋肉の間で血気の深く集まるところになります。郄穴はいずれも手、肘、膝、足の関節部分にあり、特徴としては関係する経絡や反応が早く見られる急性疾患をはじめ、臓腑の急性の症状などに対する治療点として用いられています。
3,兪穴(ゆけつ)
兪穴の「兪」には、輸入の「輸」という文字と通じるものがあり、気が入る点と考えられています。また、すべて背部に位置するため「背部兪穴」や「陽穴」とも呼ばれています。背部は病の初期段階の反応が現れると言われており、背部で敏感に反応する兪穴はその診断に用いられます。
4,募穴(ぼけつ)
募穴の「募」=集まる、集結するという意味があり、臓腑の気が胸腹部に集まることを指しています。背部にある「兪穴」とは表裏の関係にあり、すべて胸腹部にあることから「陰穴」とも呼ばれています。
特徴も「兪穴」とは反対で、病が進行している慢性病の状態に有効とされています。実際に調整するときは、「兪穴」と「募穴」を同時に行うことでより効果が得られます。この2つの関係は「兪募関係」と名付けられているほど関係性の強さが示されています。
以上4分類の経穴が症状を好転させるために重要な働きを持つ経穴となります。実際に行うとき、どのように進めていくべきか悩んでいる場合は、まずこの4分類の経穴からはじめると良いでしょう。