整体学では何か支障があるとき、例えば腰が痛いというときに、痛い一箇所が悪いのでそのような症状が出ているというように考えるのではなく、全体的なバランスが悪くなっているためにその場所に症状が出ている、というように考えます。
つまり、体の歪みというものが根本的な不調の原因であり、特定の症状だけを治しても治癒はしないというように考えるということです。体の歪みの原因・不調についての整体学の考え方の1つを見ていきましょう。
体の歪みとは
歪みというと、姿勢が悪い、足が湾曲しているといった外面的な歪みのことだけを思い浮かべがちですが、そのように目に見える歪みだけが歪みではありません。
また、脚を組んだり前屈みになっているという姿勢自体が物理的に歪みを誘発するというわけでもありません。逆に、心も含めた状態が歪んでいるために、そのような姿勢を取らずにはいられないために歪む、というように考えるのです。
皆さんも、なんとなく気分的に落ち着かないときなどに脚を組んだり腕を組んだり、また緊張したり嫌な人の前に出ると猫背気味で前屈みになったりなどした経験はあるのではないでしょうか。
そのようにして、ストレスや精神状態が体の歪みにも影響するため、無理やり姿勢などを矯正してもどこか他の場所に歪みが出ると考えられます。目に見える歪み以外も歪みとして捉えたほうが、最終的な症状の解消の手がかりを探るためには有効なのです。
人の体の歪みには法則性があります。肝臓や腎臓の疲弊が背骨の歪みにつながり、背骨の歪みを通じてその他の臓器にもダメージがいく、というように、1箇所の歪みが少しずつ伝染していくようなイメージです。このため、歪みを放置するのは非常に危険だと言えます。
歪みに影響する要因
歪みには、様々な要因が影響します。
- 食生活
- 人間関係のストレス
- 性生活
- 物理的姿勢
などなど、体の表面だけではない種々の精神上の状態が影響すると考えられています。
整体の基本的な考えでは、本来の自然治癒力を生かすという考えと同じく、この歪みを正すことで生命のエネルギーが生かされるようにすることが一番の解決法になります。
歪みを正すには、上記の原因となっている状況を良くする、認識の仕方を変えるといったことが効果的な他、整体術で肉体のほうからも歪みを解消するように補助していくことも効果的です。
西洋医学的に局所を直す、例えば手術のようなことを行って一部の臓器や骨を切ったり変更したりすると、もともとのバランスが取れなくなってますます歪みがひどくなると考えられています。
また、薬も対処療法的に特定の症状を抑えるため、体にとって不自然な状況が発生し、歪みを外から認識することが難しくなる結果ますます歪みが加速するという考えもあります。実際、薬をたくさん服用している人は、プロの整体師が見ても歪みがわかりづらくなるのです。
この歪みが原因とする考え方では、アトピーやガン、うつ病から心臓病まで様々な病気がなんらかの歪みに起因しているとされています。歪みを最小限にとどめることは、様々な病気の効果的な予防策になると期待できるのです。